Kuuta

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だったのKuutaのレビュー・感想・評価

3.4
・兄弟愛に敬意、とクラプトン。60年代サイケのアンチとしてのルーツミュージックを貫いたザ・バンド。彼らに憧れてジャムセッションを申し出るも断られた、というエピソードが面白い。思えば当時のクラプトンはクリームでインプロをやり倒した後な訳で、「曲作り」に集中していたザ・バンドとは相容れないわなと思った。

ただ、結局ザ・バンドのメンバーの多くも60年代のバンドと同様、ドラッグに溺れていくのが皮肉。

・ロビー・ロバートソンの原点にカナダの先住民とその音楽があるという告白や、それがThe Weightの歌詞に繋がったという話も興味深かった。

・最も対立していたメンバー、リヴォンの死後に出たロビーの自伝を基にした映画。存命のガースのインタビューはなく、ロビーの妻が、亡くなったかつてのメンバーに怒りをぶつけるシーンもある。ドキュメンタリーとしては、その点は差し引いて見る必要がある(再結成についても当然触れられていない)。なぜ彼らがあれほど豊かな音を作れたのか、もう少し掘り下げてほしかった。

意図的かどうか分からないが、どこまで行ってもロビー目線な語りが、一種の虚しさを漂わせてはいる。終盤引用されるラストワルツでの美しい調和との落差を感じずにはいられなかった。
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