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RUN/ランのmのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.0
頭おかしいとか、狂気とかで済まさず、きちんと代理ミュンヒハウゼン症候群としてこういう話を議論したいよね。90分と短いながら綺麗に締め、緊迫感もあり、ストーリーは王道ながら面白い作品だった。

ネタバレなのかな、と思ったけど予告やキャッチコピーから、もう完全に毒親の話だと推測できるから書いてしまおう。毒親の話です!笑
私は毒親の話が好きです。めっちゃ興味深いの、代理ミュンヒハウゼン症候群って。子は親の所有物ではない、絶対に。ただ、親もひとりの人間であり欲望・欲求もある。その中でなにがきっかけで【普通】から逸脱してしまうかなんてわからない。親は子供の成長を見守るのが、成長してくれるのが嬉しいが【普通】それってホントに普通なのか?多角的な目線で見たとき、親という存在の複雑さに気付く。虐待を擁護しているわけではなくて、なにがそうさせるのかがとても興味深いという話。だから、一度代理ミュンヒハウゼン症候群というものについてじっくりと考えてみたくなる。

郊外の一軒家に暮らすシングルマザーのダイアン(サラ・ポールソンさん)と娘のクロエ(キーラ・アレン)。生まれつき体が弱く、車椅子生活を余儀なくされていた娘をダイアンは溺愛し、献身的に世話してきた。一方クロエは車椅子のハンデにも常に前向きで、大学へ進学し自立しようと勉学に励んでいた。そんな中、母親が新たに用意してくれた薬に疑問を抱き、自分で調べようとするクロエだったが…。そんなストーリー。

今作は『search/サーチ』の監督、アニーシュ・チャガンティさんらしく、コンパクトながら迫力あるストーリー展開が素晴らしかったです。持続する緊迫感とサラ・ポールソンさん、キーラ・アレンさんの演技力でぐいぐいと惹き込まれてしまった。
とくにクロエがパソコンで薬を調べている時の「(ダイアン)後ろにいる!!!」がめちゃくちゃに怖くて…笑
ダイアンの静かな重い愛が、彼女にもなにかしらあったんだろうなぁと思わせてしまうなにかがあり、サラ・ポールソンさんの演技力に脱帽する。

が、それを上回ったのは今作が演技初だそうなキーラ・アレンさん。
クロエが大学のポスターを見つめる姿に「やったれ!」と思ってしまった。懸命に生きる姿、純粋に未来を諦めない姿がかっこよく、自らの意思で人生を決める、そんな凛々しさがあった。
部屋の描写が好きで、物で溢れ返っていて建康的な部屋がクロエを物語っていた。ダイアンから逃れる前から素直に生きていたんだろうなぁと思わせてくれる小物の使い方だった。

地下室は怖かったねぇ。
ラストもラストでそうくるか、となり、嫌な余韻を残してくれる。

キーラ・アレンさん、普段は車椅子なんだ!だからあんなに綺麗だったのか。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/母の愛からは逃れられない
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