ボブおじさん

RUN/ランのボブおじさんのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.8
歪んだ愛情が狂気へと変貌し、主人公が監禁されてしまうサイコスリラーといえば「ミザリー」を彷彿させる映画だが、監禁してるのが母親なだけに尚更タチが悪い。

全てを失った母親にとって、生まれつき慢性の病気を患い、車いすでの生活を余儀なくされる娘を育てることは、自分の生きる目的だったのだろう。

だが娘が自立して自分の元を去ってしまうことを怖れた母親は、ある恐ろしいことを企てていた。その事に気づいた娘は、監禁された部屋からの脱出を試みようとするのだが。

前半からサスペンス映画の教科書のような展開が続く。外部からの情報を一切途絶えさせられた娘は、危機的な状況から逃れようとした瞬間、母親の手によってことごとく遮られてしまう。だが母親の僅かな隙をつき、遂に決死の脱出に成功したかのように見えたのだが…

パソコン画面上で物語が展開する「search~」で注目されたアニーシュ・チャガンティ監督が、同じチームと製作したサイコスリラー。90分の上映時間のほとんどを母親役のサラ・ポールソンと、オーディションで選ばれた新人女優キーラ・アレンの2人で演じている。

この母娘が最初から最後まで、限られた空間で演技合戦を繰り広げる。さまざまな事柄をきっかけに娘が母に対し疑いを抱いてからは手に汗握る母娘の心理戦、さらにある場面から始まる怒涛の展開は、こちらの予想を越えて驚かされる。果たして彼女は逃げることができるのか?

細かい設定などいくつか気になる点はあるのだが、母親が異常な心理状態になった理由などには納得できる。ただラストの展開に関しては賛否の分かれるところだろう。