明石です

RUN/ランの明石ですのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
5.0
心臓病、発疹、喘息、半身不随、あらゆるハンデを背負い生まれてきた少女を襲う悲劇。親子愛ゆえの狂気という、ありそうでなかった新感覚ホラー。いやあ怖かったぜ、、私が見たことある中では、2020年代のホラー映画では暫定ベストの1作。毒親どころじゃない、代理ミュンヒハウゼンの恐怖。あるいは現代版何がジェーンに起こったか。最近見てガックシきたエスターとあらゆる意味で新作の真逆のような、傑作でした。

序盤からずーっと凄いけど、とくに終盤で主人公が、自分の幼い頃の写真を目にした時の衝撃ときたら!この、1枚のカットだけで背筋をゾクゾクさせるセンス。単純な仕掛け、というか仕掛けですらないいかにも本物然とした自然なストーリーなのに、ここまで震えさせるとは、、それと登場人物ほぼ2人だけのこの意欲作な本作で、おそらくはぽっと出の、まったく無名の俳優さんがベテラン顔負けのスンバラシイ演技を披露するあたり、アメリカ映画の底の知れなさを感じる。

あと何気に、台詞や効果音がほとんどないのも美点だと思う(耳を塞いでてもわかる面白さって凄いよ、、とくに最近のホラーでは笑)。色んな意味で新しくて最高でした。本作を見たことで改めて、新しい映画を普段あまり観ない私が、実のところ「新しい映画」を嫌いなのではなく、日付だけが新しい映画に興味が持てなかったのだと気づかされた。それまでになかった試みを映画の世界にもたらすことのできる種類の作品は(新しかろうが古かろうが)大好きなのだとも。
明石です

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