Koshii

RUN/ランのKoshiiのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.7
《What are you?》

今夜は、13日の金曜日。
ホラーサスペンスナイトといきましょう。

選ばれたのはRun.でした!

searchの監督の新作出ます!と知ってから、なかなか観る機会もなく、、

確かポンポさんの公開年だったと記憶。
 
そういう訳で!!

あら、なんだかサスペンスね、と序盤から溢れる不穏な空気。下半身に障がいを持ち、車椅子での生活を送るクロエは、少々過保護な母親との二人暮らし。その日常に溶け出す違和感。

何かが起こっているのだが、その目的も真意も不透明。クロエは、ある対象に向かってこう言う。『What are you?』


以下、ネタバレを含みます。



 








searchの監督作品とだけあって、伏線の貼り方や遊び心の散りばめ方が巧い。腕の筋肉で新記録が出たの。というクロエのセリフ、家の2階にクロエの部屋があること。

クロエが映画館から逃げ出す時に一瞬映る、バリアフリートイレの「NO RUNNIG」の文字もなかなか洒落ている。

そして、映画の緩急の付け方もサスペンス映画のお手本の様で、ストーリー展開のスムーズさにも唸る。

クロエが序盤、閉じ込められていた自室から脱出を決め込むシーンでは、上半身の筋肉と、明晰な頭脳を駆使して切り抜ける。
その後に待ち受けるのは、電動アシストが殺された階段。
そこで、車椅子だけを先に落とし、自らも腕力で降りようとするがバランスを崩して落下してしまう。
この一連のシーンのテンポ感の調節が上手い。
腕力で階段を降りるのは画変わりしないし、尺もかかる。ので、クロエを落下させることで、その部分をまるっと省略し、さらにはハラハラ感を演出する。また、額に傷を負うことで、家から脱出した後に、クロエ自身にただならぬことが起こっているということを周囲に示すことが出来る。

そして、それだけ逃げなければならない状況が続くにも関わらず、その目的と真意がまだまだ明かされないのである。

それが明かされるシーンの衝撃はそこまでではあったものの、引き込まれる展開の数々に、どうなるの?と前のめりなる面白さが光る作品だった。

ほんとに無駄がなく、優等生って感じの映画でしたね!!
Koshii

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