先日「プロフェッショナル 仕事の流儀」で青山剛昌が、「ミステリとラブコメって、とことん相性が悪い」と言っていたのを見たばかりなのだが、この作品は両者の見事な融合としてお手本といってもよいのではないか。軽妙で洒落ていて、それでいてミステリとしての作りもしっかりしている。
いつもながらのニヤけ顔で煙に巻いてくるケイリー・グラント、完璧スタイルで鮮やかにお色直しを繰り返し最早ファッションショーのようなオードリー・ヘップバーンも魅力的なのだが、お宝を狙ってくる三人組のキャラも好い。苦み走ったジェームズ・コバーン、くしゃみおじさんネッド・グラスもいい味出しているが、トンガリ爪のジョージ・ケネディが強烈な印象。
物語舞台の使い方も巧い。ホテルのドアやエレベーター、地下鉄駅でのチェイス、そしてクライマックスの劇場。
ラストに向けては何重にも唸らされる。25万ドルの隠し場所、アイデアは悪くないけど伏線となるシーンがもう一つくらいあってもよかったかも。真犯人の正体で驚かされ、サスペンスが緩んだ後でのもう一捻りが楽しい。