りさ

ビバリウムのりさのネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

私の中の喜怒哀楽の感情はどれ一つとして盛り上がりを見せず、かといって享受するものが何もなかったかと言われれば、そうではない。という感覚。一言で表すと「ナニコレ。」

感情の欠落した”人間ではない生命体”が「人間が理想とする生活」を想像して創った世界だから、表面的な「幸せになるための道具」は揃っているけれど、ジェマとトムは不幸になる一方。
トムが亡くなる場面の2人の会話、2人の幸せな思い出。ヨンダーは理想郷であるはずなのに、2人の幸せな瞬間をつくり出したものはそこには無い。まぁ結局、ただのマーティン育成場なのだから、と、そういうことかな。トムがヨンダーの土を吸い込んで病気になっていく様子は、個人的に人工物を口にすることの危険さをも示唆しているように見えました。

冒頭部分の”カッコウ”と題名の”ビバリウム”が、「人間世界を模倣した世界で他の生命体の育児をする」ことを意味しているとすれば、自分の世界で子育てできるカッコウよりも残酷な世界だなぁと…ジェマとトムは巣から落とされた二羽の雛なのかな。
りさ

りさ