不思議で、救いがなさ過ぎるのが、潔くておもしろかった。思いっ切り無責任に考察しても、誰も傷つかないし、ムキになる必要がない。そんな作品。
モンスターが成人するまでの所要期間が、たぶん人間界の約一年だから、正気を保っていられるかどうか瀬戸際のライン。成長スピードが、それより早いと、まだ人間が疲弊し切っていないから、"解放"の意味合いが違っちゃうし、それより遅いと、肉体も精神も持たないから、育児の目的を果たせなくなっちゃう。届けられる加工食品によって、健康状態も期間内でコントロールされてると思う。
で、一緒に観た友人と意見が一致して盛り上がったのは、多少不気味だったとしても、私たちは相手が子供の姿形をしていたら、それなりに世話をしてしまうんじゃないかってこと。ゴールが分からなくても見た目があれだと放棄できないかもしれない。それを実感したのが、おもしろかった。
このモンスターは、そんな人間の性質や生活パターンをよくよく調査、研究した結果、あのシステムに行き着いたと思う。だから"想定内の人間"は逃れられないのだ。主演のイモージェン・プーツとジェシー・アイゼンバーグがごく普通の良いカップルだからこそ、ターゲットになったのが理解できる。
