渋谷裕輝

スナッチャーズの渋谷裕輝のレビュー・感想・評価

スナッチャーズ(2019年製作の映画)
5.0
『初体験でエイリアンを妊娠!?やっぱり持つべきものは陰キャの親友』

◆あらすじ
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イケメンのスカイラーと付き合ったおかげで、サラはすっかりクールな女子の仲間入り。しかし、スカイラーは夏休みの間に地球外生命体に感染していた。たった一夜を過ごしただけで、サラは自分が妊娠したことに気づく。妊娠…9か月…しかも胎児はエイリアン!身重の体を何とか隠し通そうとするが、頼れるのは元親友ヘイリーだけ。やがて2人は知ることになる。血に飢えたエイリアンは、本当の恐怖の始まりに過ぎなかったことを。(公式より引用)
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“陽キャデビューした主人公が元彼との初体験でエイリアンを孕む”

というぶっ飛び設定が面白く、後半はやや失速気味というか盛り上がりきらずに終わってしまった感はありましたが十分に楽しめました。

テンポ良く、スピィーディーに話が進んでいくため見ていて非常に爽快感がありました。またコメディ要素が多めですがそれがどれもハマっており、スカイラーの早漏っぷりとイキ顔、出産の際に弾丸のように飛び出したエイリアンが産婦人科医の頭を木っ端微塵にする、二体目のエイリアンを産み出した直後に確実に仕留めるため股間にミキサーをあてがう、そこら辺に転がっている腕を拾って指紋認証を解除するなど

ブラックや下品な笑いが多めですが個人的にはハマりました。

ただ、警察署内でエイリアンが暴れ回る中盤くらいで知識&説明担当だったデイヴを早々に殺してしまったためその後の展開や後述するエイリアンの設定などがふわっとしてしまったように感じました。また、サラの母親と警察官のルイーズもここで離脱して終盤まで出てこないのは少々勿体ないように思いました。

エイリアンに関しては

“メキシコ帰りだからエイリアンを持ち帰ったに違いない”

というとんでもない偏見は面白かったんですけど、後半で明かされるスカイラーがエイリアンに寄生というか感染してしまう流れや設定みたいなものが駆け足過ぎてあまり入ってこず、スカイラーがメキシコ留学の際に訪れた博物館でたまたま撮影していた壁画からエイリアンの情報を得たり、結局ほとんど使わなかったマヤ族の剣など中途半端な部分も多々ありました。

石像の珍棒を折ってしまい、そこから噴射されたピンクのガスを浴びたことで感染&セックスのことで頭がいっぱいになるというのは強引過ぎて逆に面白かったです。

パワープレイな作品なのでエイリアンの設定ももっと雑でも良いような気がしました。

ちなみにエイリアンのデザインは蜘蛛型でかなりグロテスクです。非常に素早く動き、人間の脊髄に針を刺して体を乗っ取ります。乗っ取られた人間は母親のように生き残った者もいれば、そのまま死んだ者もいるためこの辺りも設定が少し曖昧だったように思います。

クライマックスで登場する巨大エイリアンはそれなりに迫力があるんですけどほとんど見せ場もなく倒されてしまいます。サラとヘイリーが協力してエイリアンに立ち向かう戦闘シーンもあまり派手さがなく、前半のように血飛沫や顔面木っ端微塵を期待していたので少し肩透かしを食らってしまいました。

前半に頑張りすぎて、後半ガス欠になってしまった印象ではありますがそれなりに楽しめるSFグロコメディでした。