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アンダードッグ 前編のバナバナのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
4.0
脚本が『百円の恋』の足立紳さんだそうです。
タイトルの『アンダードッグ』とは“かませ犬”のこと。
本作では3人のボクサーを一人ずつ、それぞれ同ボリュームで描いています。

森山未來演じる末永晃は、過去に日本ライト級1位という実績を持つが30代になり、子供が居ながら今は家族と別居中。
デリヘル嬢の送迎やサウナの清掃の仕事をしながら、未だボクシングを辞めずに続けている。

勝地涼演じる宮木瞬は、有名俳優の二世でお笑い芸人をしている。
ひな壇芸人としてそこそこテレビには出ているものの、実生活でもヘラヘラしていて、親に未だ生活費を出してもらい、高級マンションも購入してもらっているが、マンションは悪い友達の溜り場になっており、実は自己評価の低い根暗な性格。
テレビ番組でボクシングのライセンスを獲ることになり、次第にボクシングにのめり込んでいく。

北村匠海演じる大村龍太は、大手ボクシングジム所属の選手で、世界チャンピオンを狙っている有望な選手。

前半は、テレビの撮影も入ったエキシビションマッチで、末永晃と宮木瞬の対決に焦点が当てられる。

最初、宮木瞬が登場してきた時に“前髪クネ男”再び!と思ったが、わざと人前ではチャラけているキャラクターだったんですね。
自分に自信がなくて、わざと道化を演じている人は意外に多い。
ボクシングジムのトレーナーをお笑い“ロバート”の山本博さんが演じているが、山本さんはずっと昔からプロボクサーのライセンスを持っていて、今は本当にトレーナーの資格も持っているそうだ。
最初、テレビの企画のチャラけた態度にイライラしていたトレーナーは、宮木にキツく当たるが、宮木が本気でボクシングに取り組んでいるのに気付いてからは、善きアドヴァイザーになってくれる。
宮木が誰にも話せなかった心の内を、このトレーナーがポンポン周りに言ってくれるので気持ち良かった。宮木は彼女にも恵まれていると思う。

一方の末永晃は、子供の頃から父親がトレーナーで、一緒にプロボクサーを目指していた。
その頃のことは、母も健在で幸せな思い出だから、歳をとっても余計ボクシングを辞められないのかもしれない。

赤井英和と同学年で、同じくプロボクサーの第1位にもなったお笑いトミーズの雅さんは「1位とチャンピオンでは実力に雲泥の違いがある。その差に気付いて自分はボクシングを辞める決心がついた」と語っていたのが思い出された。
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