たいてぃー

佐々木、イン、マイマインのたいてぃーのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
4.0
この佐々木って人物は、いそうでいない。似た人物は確かにいる。だけど、私自身に共通点は少ない、佐々木の行動・言動は、ちょっとわからんって、最初は感じていたが。
高校時代の佐々木(細川岳)の家でのシーンが好み。ゴミで溢れてるけど、友達たちの溜まり場となっている。ここへ友達を招くのは、私だったら無理。少しは片付けるんだが。カップ麺を食べる、だめだで友達と言い争いをする。そこへ、暫くぶりに父親が帰ってくる。友達たちを見て、何かを探すそぶり。この父親役に鈴木卓爾。朴訥としてて、胡散臭さもある。こんな父親であれば、怒りをぶつけそうだが。でも、親子でテレビゲームを楽しむシーンもあって。
ストーリーは、佐々木の友人の一人、悠二(藤原季節)の27歳の現在と佐々木と交流した過去を行き来して、進む。
悠二は、俳優だが日の目を見ていない。でも仲間の須藤(村上虹郎)から舞台に誘われ、稽古する。難解な重たいセリフが並ぶが、佐々木との交流にも呼応している。須藤との語らいで、何かを掴む悠二。このあたりの脚本、演出はいいね。
その他、佐々木のパチンコ屋での振舞いやカラオケで苗村(河合優実)との出会い、バッティングセンターでホームラン王になっていたとか、心に響くシーンが満載。
結局のところ、佐々木には大いに感情移入してしまった。他人を惹きつける魅力を持つ人物。でも繊細な何らかを持ってる。わかりづらいとこもあったんで、もう一度観て、確認したくなった。
役者は皆、力がこもった演技。特に悠二役の藤原季節、「his」も良かったが本作でも。苦悩からの覚醒、青春を体現してるね。それと、悠二の恋人ユキ役の萩原みのりもいい。前半の倦怠感溢れる雰囲気から後半の気強い面まで、上手く演じてる。
内山監督、若き新たな才能に遭遇できて、ほんと嬉しい。今後は、何をしてくれるのか、楽しみ。