このレビューはネタバレを含みます
あなたの中にも、佐々木はいる?
わたしの中には、二人いる。
一人は小学校の頃の同級生、もう一人は中学・高校の頃の同級生。
小学校の佐々木は、ヤンチャでリーダーのようなタイプで、悪ガキだけど、悔しい時に泣いたりする純粋で良い奴。
中学・高校の佐々木は、自分と趣味が似ていて、音楽や洋服が好きで、周りに友達は少ないけど、自分の道を突っ走っていた奴。
どちらの佐々木とも、成人式以降、一度しか会っていないし、連絡先も知らない。
それも、偶然どこかで会った時と、昔の同級生の結婚式で会った時だったので、詳しい近況も、今聴いている音楽も、ろくに話さずに、少し昔話をしただけだ。
でも、なぜか、彼らとは親友だと言い切れる。
青すぎるほどに何かを抱え込んでいた時代に、何かを掴み取ろうと必死だった時間を共有していた事が大きいのだろうか。
学校帰りに、何の予定もないのに、毎日、彼の家に行っていた事や、CDを交換したり、遠くまで服を買いに行って、夜はライブを観た事を思い出した。
なのに、何故、今連絡を取らないのかは、自分にも分からない。学生時代の恋人と連絡を取らないのと似ている気がする。
理想を壊したくないのだろうか。
変わってしまった彼に会いたくない。
いや、変わってしまった自分が、幻滅されてしまうのが怖いのかもしれない。
佐々木じゃない同級生と少し揉めていた主人公や、佐々木に対する主人公を見ていて、そう思った。
「世界は、えらいスピードで進んでいるんだ。着いて行かなきゃ。でも、さよならも言えないほど早くはないよ。さよなら、そんな言葉は俺には無いね。」
幻滅されない自分になれるように進むしかない。
下記、印象的なセリフなど
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⬜︎「足の爪切る作業ってさぁ、生きてくうちで、一番面倒臭い作業だよね。」
『いや、そんな事ないでしょ。』
⬜︎「世界は、えらいスピードで進んでいるんだ。着いて行かなきゃ。でも、さよならも言えないほど早くはないよ。さよなら、そんな言葉は俺には無いね。」
⬜︎クソダサいエンディング最高。