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佐々木、イン、マイマインのSSRTのネタバレレビュー・内容・結末

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画を最後まで見て、井伏鱒二氏の名訳と言われている「さよならだけが人生だ」という詩が真っ先に思い浮かんだ
この言葉の持つ意味として「惜別派」と「一期一会派」がいるらしいが、本作は前者だと思う

佐々木が所構わず服を脱ぎ、奇天烈で破天荒な行動を起こすのは、寂しさや孤独を紛らわし自分の未来を想像するのを防ぐため、なのか?
「お前はやりたいことやれよ」という言葉から、自分はやりたいこともなりたいものも叶えられないという佐々木の諦観が滲み出ていて、それでも他人にこんな言葉をかけられる佐々木の優しさが切ない
なかなか帰らない父親に嫌味や文句を言うでもなく、夜中に物音で起こされてもむしろ起こしてよと笑い、一緒にゲームをする普段とは違う子供らしい姿が切ない

俳優さん方の演技が自然で良い
ユウジの劇中劇の演技が若干棒っぽいのも、演技してますという演技をしていてリアル
だからこそ最後に走りながら劇のセリフを叫ぶシーンの迫真さが刺さる
「世界はえらいスピードで進んでるんだついていかなきゃ
でもさよならも言えないほど早くはないだろ」
さよならだけが人生だけど、さよならを言えるならそれが幸福なんだろうな
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