れいん

MISS ミス・フランスになりたい!のれいんのレビュー・感想・評価

4.5
この手の映画は何度も観てるからな、というこの気持ちをブッ壊された。ミスコンの映画はどれも似たり寄ったりかな~という考えは捨てました。男のが女の子になりたい、そのようなのは何回も観た気がする、だがそうじゃない!この映画は根本的に違う。王道のようでそうではない。なんというか、薄っぺらいキレイな話しに纏めていなくてちゃんと寄り添っている気がしました。そういった方達の気持ちが分かっているとも思っていないし、苦しさだってきっと分からないかもしれないけど、でも誰だって『なりたい自分』や思い描く理想『憧れる誰か』ってのがあるじゃないですか、私はそういうのだと思ったんです。病気だ、って言われちゃったらそうなのだろうけど、そんなんじゃない感じの映画でした。
演じてる人が最初からキレイで男!って感じじゃないので元々キレイにしてないとこうはならないよなとは思っていたが、男性の見た目が急に女性っぽくなるにはそれは無理があるし、子どもの頃からそうなりたい願望があるなら少なからず手入れはしていたと思うので実はかなりリアルじゃん!と思いました。
キャラクターがすごい濃すぎて、すぐ覚えられるほど。そしてどの誰もが愛おしい!好きになってしまう。多種多様。それって普通の生活でも、普通の人っていなくてみんな個性の塊なんだよな~とも思いました。
特に大好きなのはローラとアマンダと髪の毛爆発してる同室の子。三人とも素敵でかっこ良かった。ローラはアレックスにひどい態度とられても、投げやりなアレックスを諭すシーンはすっごく心に残った。私みたいになるな、ってのがすごく伝わった。アマンダは全てを知った上でそれでもアレックスを押し上げたそして信じた姿勢がすごく好き。彼女も立場的に危うくて、なにか爪痕残してやろうとか裏であったかもしれない。でもアレックスのことを信じてあそこまでアレックスをのしあがらせた力はすごい。髪の毛爆発した同室の子、すっごく嫌な態度ばかりでアレックスの気持ちになってしまって泣けちゃったけど、全てを知って諦めちゃダメ、私も絶対に優勝するってベッドで仰向けで手を繋ぐシーンはとても胸にグッときた。友情が芽生えたシーンだよな。女であってもあの舞台に行くまで、死ぬほど努力してんのにアレックスがあそこに立つまでは更に死ぬほど血が滲むほどの努力ってことを分かってのあの台詞だと思うんだよな。
美しくなってちやほやされて、なりたかった自分に近づけたと思ったら、何かを置いてきて蔑ろにし始めたアレックスがやっぱり本物の女の人には勝てないなーというシーンは切なかった。
ラストのシーン。感動しすぎて涙が止まらなかったです。みんなに囲まれてリング上で冠を授与されているのはとっても良くて。受け入れてくれる人達がいるってことはとても強く素晴らしいものだと思った。
劇中の最も良いなぁと思った台詞。ヨランダの
『他人に自分の価値を決めさせるな』
他人軸じゃなくて自分軸。めっちゃ響いた。

最近ショックなニュースがあった。この映画の内容もあったからなんとなく想起されてしまう。彼女(でいいんですよね)も天国で大好きなファッションやメイクをして好きな振る舞いをして、周りに囚われず自分らしくやりたいことを自由にしてくれてたら良いなぁと思う。思い出すといつでも笑顔なんだよなぁ。可愛いなぁと思う。
れいん

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