ひげがいこつ

MISS ミス・フランスになりたい!のひげがいこつのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

劇場公開時に1度見て好きだったので、久しぶりに再度見てみました。やっぱり好きな映画です。

LGBTとかの話と見せかけて、実はそこはそう重要な部分では無いのかなと見ていて思いました。
ただ単純に主人公アレックスがなりたい自分になる、夢を叶えたい、何者か知りたい、そういうシンプルな物に一貫していたので映画内の表現を借りるなら、平凡な私でも共感できる物語でした。
アレックスの中ではずっとそういう思いがあるものの、ただ実際は他者からの見られ方というのは生きていて多分に影響されてしまう訳です。
自認しているものと他者からの評価の違いに葛藤して、ブレてしまうのってLGBTとかに限らずあらゆる人にありえる事なので、だから共感できたのだと思います。
「女でいると強くなれる」というセリフにあるように、例えば人それぞれアガるファッションやら見せ方あって、たまたまアレックスは女性として外見を見せることに強みを見出した、それだけの事かなと思います。
ただ実際は性自認の見られ方の違いって、私が想像できないくらい大変な事が多いのでしょうけどね・・。

劇中でSNSでの評価がとうのこうのとよく出てくるのも、他者からの評価がそんなに大事なのか?と問うてる気がします。
ヨランダが言っていた「他人に自分の価値を決めさせるな」、ここにこの物語の全てが詰まっているなと思いますね。

個人的にローラがすごい好きで、ローラ絡みの話が全部好きです。
序盤の女装ババアって言われたローラを擁護出来なかったアレックスが、舞台の上で暴言を吐いた本人に言い返すシーンめちゃくちゃ好きです。
あれこそアレックスが「女でいると強くなれる」を体現したシーンですね。

あと、そんなアレックスにローラを家族として紹介したくないと言われてしまう所が凄く辛かった。
その後、自暴自棄になって自分を売りに行こうとするアレックスに対して、自分の現実を見を持って教えるローラのセリフが辛いけど、ただ愛もある、そういうローラが本当に好きです。
ヨランダにしてもローラにしても、自分はどうしもうもなくなってしまって、この先もあまり良いことは無いかもしれない、だからこそアレックスに幸せであってほしい、そういう想いが彼女らのセリフには詰まっていてたまらなく好きですね。

世の中にLGBTという言葉が流行り始めた頃にこの映画を見れたので、私の中でこの映画がLGBTに対する1つの指針となりましたね。
私には得るものが多かった映画です。
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