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グッバイ、レーニン!のshinoのレビュー・感想・評価

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
4.0
"未来は僕たち次第。
不確かだけど、輝いていた"

まさに『未来は国家次第』だった社会主義体制から抜け出した東ドイツ、激動の時代…!

夫が家族を置いて西ドイツに亡命してから、社会主義に身を捧げた母が、心臓発作で8ヶ月も意識不明に…!
その間に、ベルリンの壁が崩壊…!めまぐるしく変わっていく東ドイツを見てまた母が倒れてしまったら、次はもう命の保障はない…!
東西ドイツ統一という大きな事実を隠すため、周りを巻き込んで嘘をつき通した、アレックスの優しくて切ない奮闘記(*´︶`*)

中学生の頃見てちんぷんかんぷんだった本作。世界史もそれなりにかじって、センター試験を経験してから見ると理解度がちがいますね。笑

まあ言ってしまえばアレックスは究極のマザコン(´-`)
母のために西ドイツの食品をぜーーんぶ東ドイツのビンに移し替える…なんとも気が遠くなるよ(´-`).笑

でもその背景には、父の亡命で精神を病んでしまった母を一度失いかけたトラウマとか…
自分が反政府運動に参加していたのを見られて、それが心臓発作に繋がったのかもっていう後ろめたさがあったのかな…?

お姉ちゃんや恋人も、アレックスについていけなくて反発することもあるんだけど、根底にある息子としての深い愛を無視できなかったんだろうな…

ネタバレっぽくなりますが…
お母さんは最後、気づいてた。
現実とは全く違う『こうあって欲しかった東西ドイツの統一』を描いたアレックス特製の嘘のニュース。
母と息子がそのニュースを見ながら見つめ合うシーンはもう…なんていうかじーんときちゃいますよ…(´-`)

「素晴らしいわ」
あれは紛れもなくアレックスにむけられた母の愛でした。涙

いまだから分かるけど、社会主義に傾倒したのも、夫が亡命したことによる秘密警察の監視から子どもを守るためだったのかもな…

親子の絆のテーマの片隅に、
母は強し、を見せられた映画でした。
shino

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