140字プロレス鶴見辰吾ジラ

グッバイ、レーニン!の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
3.8
【親孝行】

諸事情あって親孝行を強く意識することになりまして。」親孝行、しようと思うが親はなし。」という責任感とエゴの恐怖と対峙することとなりました今の私には響く映画です。

ベルリンの壁が崩壊したときに心臓発作で母が倒れ、熱狂的な共産主義者な母が東ドイツの終焉を知れば、再び心臓発作により死に至ると知らされ、あの手この手で東ドイツがあると見せかけるという方向音痴な努力と滑稽な様をハートウォーミングに描いた親孝行の物語。

TVニュースのでっち上げやピクルスの調達など、明らかに不器用で滑稽なあの手この手の可愛らしさから、破壊されたレーニン像が空輸されるシーンの切り取られた絶望感の映し方は思わず身を乗り出してしまいたくなります。

最後は照れくささを感じるエンディングでしたが、優しい嘘がもたらすホンモノの愛情が、やや陳腐ながら親孝行というエゴと責任感の呼び掛けに、母さんを北海道旅行に連れていってあげたいし、親より長生きしなければと色濃く胸に刻んでいる私がいました。