消々

逃げた女の消々のレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
2.0
他人の会話を聞くのが趣味、というと外聞がよくないけど、一人でいることが多いから、否応なく耳に入ってくる。
が、本作は、それとはちょっと毛色が違う。彼女らの話は、外でできる話ではなく、部屋の中で、第三者が聞いていない安心できる場所で、どことなく気が緩んだからできる話だと思う。その機微が物語として表現されていて、すごい。
さらに、主人公のガミが旧友を訪ね回るんだけど、ガミが果たしてどんな人物なのか、実はほとんど描かれていない。会う人ごとにどことなく雰囲気が変わるし、彼女の生活の場は全く描かれない。彼女の日常は彼女が語る言葉からしか、わからない。旧友たちは、家や職場をさらすことで、その実際を暴かれているのに。
会話は具体的でも、全体として全く掴みどころのない、不思議な雰囲気の映画だった。
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