アクセルガツキー

逃げた女のアクセルガツキーのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
3.9
静かに、当たり前のように、狂っている。
この世界の人物たちが、ではない。作り手が、だ。

動き続ける主人公(ガミ)は、実は動いていない。その存在自体が、まるで世界に向けられたレンズのよう。
そして、その存在に向けられたキャメラは、不安定に揺れる。それはレンズを向けられた世界が不安定に宙吊りにされるからか、動いていない主人公の内面の揺れを映しているからか?

しかしながら、この主演(キム・ミニ)は、この監督(ホン・サンス)と「つねに一緒に」いなければ、もっと世界的に活躍し、大きな存在になっていたのではないだろうか?
…ここで宙吊りにされているのは、その一つの「問い」なのかも。そんなことを思わざってしまいますよね。