21世紀K

逃げた女の21世紀Kのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
3.2
主人公の先輩女性との会話パートで昼間であるにも関わらず室内照明が際立ち窓から差し込む光が室内の光に負け、一瞬夜に見えるショットがある。一つの画面内に2つの光線が同居することはなく、一方が完全敗北しその存在がかき消される。かき消されたとはいえ実際窓はそこにあり、そこから見える「昼間」という事実を観客が見ようとすればその光の具合が目に映る。しかし全体を俯瞰して見れば再び窓から差し込む光の存在は無力化されてしまう。俯瞰の画面からズームインによってとある対象を選び取りそれによってアップの権力性を滲みださせることがこの映画の面白さ。本作のズームが顔面クロースアップのような単なる人物強調に留まらないことは画面片隅の猫に唐突に寄るショットからそのような視点を獲得できる。なので最後は主人公の視線先にあるスクリーンへゆっくりパンしてフレームにピタリではなく、主人公の瞳へズームインでも良かったんですよ。そこに映ってるものが何だかわからない画でも"アップ"それ自体の何かが暴き出されるような気がするので。
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