日活という会社に所属している以上アクション作品を任せられることが多かった鈴木清順監督だが、脚本の良さとスピーディーな演出、清順ならではの歌舞いた表現、個性的な登場人物がバランス良く配置されて良い意味で面白いハードボイルド作品に仕上がっている。ほかはひたすら歌舞いたり、狂気にはしったりしてバランスが傾いている印象があるだけになおさらそう思える。そして何よりこの作品をまとめているのがどんな状況にも屈せず異様な世界を堂々と闊歩する宍戸錠の存在感！
サディストな小林昭二&川地民夫兄弟のクレージーっぷりも素晴らしいが、個人的に好きなのは宍戸と組んで仕事をするちょっと頭の足りない江角英明。この人が画面に出るたびに何が起こるかわからない異様な緊張感が画面に醸し出される。
郷鍈治が住むマンションに置かれたプラモデルの数々がセンスが良い、そこで起こる江角と郷の一瞬の銃撃戦に痺れる(アレックス・コックスがこれをオマージュした場面をやってたな)。
『男はつらいよ』にて寅さんが懐かしんでいた柴又の「矢切の渡し」が見られるのも貴重。
