イチロヲ

野獣の青春のイチロヲのレビュー・感想・評価

野獣の青春(1963年製作の映画)
3.5
ヤクザ組織の謀略により網走送りにされた元刑事(宍戸錠)が、かつて恩義を受けた同僚の無理心中に探りを入れていく。大藪春彦・著「人狩り」を原作に取っている、ハードボイルド映画。

ヤクザへの復讐心を滾らせている主人公が、対立関係にある二つの組織(金子信雄 対 信欣三)に潜入しながら、陽動作戦を実行していく。主人公のパートナー役を江角英明が演じており、ロマンポルノでブレイクする以前の瑞々しい芝居を見せてくれる。

キャバレーの防音ルーム、映画館のスクリーン裏側、コールガールの調教部屋など、闇社会の投影とも思われるシチュエーションが続々と登場する。高いテンションを維持したままで展開するため、心地よい刺激を受けながら、軽快な映画鑑賞に浸ることができる。

戦後混乱期に端を発する、ヤクザ稼業の文脈が盛り込まれているところも醍醐味。コールガールを牛耳る青年(川地民夫)の屈折した性観念に、隔世の感を禁じ得ない。
イチロヲ

イチロヲ