OASIS

野獣の青春のOASISのレビュー・感想・評価

野獣の青春(1963年製作の映画)
3.7
ヤクザにはめられて刑務所送りになっていた元刑事のジョーが、かつての同僚が殺されたことを知り、事件の真相を探るという話。

モノクロの映像の中、ある一人の男とその愛人が無理心中を図った場面から始まり、その男の警察手帳が映された瞬間カラーに変わるという「東京流れ者」の様なオープニング。
宍戸錠演じる流れ者のジョーが街中のチンピラを手当たり次第やっつけて回り、ヤクザにスカウトされ用心棒となる。
野本組の経営するクラブで、壁の向こう側、床下からマジックミラーの様な映像で捉えたショットが印象的で、ホステス相手に息巻くジョーを無音で映し続ける場面もその構図と相俟って奇抜な演出だった。

のし上がっていくジョーの活躍を芳しく思わない敵対する野本組の奴らから狙われるも、そいつらとも手を組み二重スパイに。
組同士の相打ちを狙うジョーと、それにまんまと振り回される二組の間で繰り広げられるクライマックスの銃撃戦は中々の迫力だったが、全体的にハードボイルドな雰囲気なのに、カーチェイスの時に全員がパンストを被って爆弾を投げてきたり、爆弾を積んだまま車で敵の家へ突っ込んだりとルパン風なコメディ描写や支離滅裂なアクションがあって滅茶苦茶笑ってしまった。

ジョーの身の上が明らかになるのが中盤以降なので、それまでの彼の行動が一体何の為のものなのかが分からなかったのでドラマが動き出すのが遅く感じた。
意外と派手なやりとりをしてるのに案外バレないもので、スパイものにしてはサスペンス感は無かったが、宍戸錠は「殺しの烙印」の時よりも頬がパンパンに張っていて恰幅が良くなり格好良くなっていた。
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