フジタジュンコ

ストリートダンサーのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

ストリートダンサー(2020年製作の映画)
4.0
頭空っぽにして見られるダンスバトルものだろう、と思って、あらすじもろくに調べず、正直舐めてかかってました、すいません、めちゃくちゃよかったです!!!! まさか泣くとは思いませんでした…油断してた……もう1回見たいです。次はできれば応援上映で!!

インド映画らしからぬ(?)ロンドンの大豪邸からお話が始まるので、うん?と思ったら、印パ問題、貧困、フードロス、移民、宗教、女性差別、etc…現代的なインドとパキスタンの抱える様々なテーマがどんどこ投げ込まれていき、ダンスがそれを伝えるためにうまく差し込まれるので、最強レベルに楽しいダンスを堪能しつつ深刻な社会問題について考えるという、いつもと違う意味で情緒がまとまりませんでした。主人公とヒロイン以外はガチのインドのトップダンサーだそうで、伝説のダンサー・プラブデーヴァーさんのコレオグラフィは素晴らしい、のひとこと。

冷静に考えたらおかしいぞ?みたいなエピソードやシーンもあるのですが、「インド人は感情に訴えてくる」という台詞があったように、怒涛の感情に流されてしまうのであまり気になりませんでした。

本作のヒロイン・イナーヤトは、美しくて可愛らしくていじらしくてセクシーで、登場からしばらく主人公のサヘージといがみあっているので、「インド映画あるあるの感情移入を拒否する系の恋愛かな?」と思っていたら、そうやすやすと恋には落ちないプライドを見せつつ、フードロスをきっかけに「自分にできること」に真摯に向き合い、誰かのため(=母国を同じくする不法滞在の移民を国へ帰すため)に踊ることを決め、周囲の人々を巻き込んでいくので、中盤以降はサヘージじゃなくてイナーヤトを応援していました。そりゃサヘージも大好きなお兄ちゃんじゃなくてイナーヤトに抱きついちゃうよな!!わかるよ!! あのシーンにはニヤニヤしちゃいました。

なお、イナーヤトの従兄のゼインを演じたサルマーン・ユスフ・カーンさんがかっこよすぎてかっこよすぎてやばかったです。メガネにヒゲにマッチョ、なにこの全部入り…