ひろゆき

のぼる小寺さんのひろゆきのレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
3.8
銀幕短評(#606)

「のぼる小寺さん」
= 登る こてらさん
2020年、日本。1時間40分。

総合評価 75点。

きっかり3回しか来ませんね。夏と秋と冬と春とが、その順序で。わたしにも あなたにも。いまはもうその冬だ。じつに平等です。

高校生のときのわたしは、もともと山が好きなので 山岳部で3年間がんばりました。重くかさばるテントと鍋とガソリンコンロと生米や水などをかついで、日本アルプスをあちこち登っていましたよ。四季折々の山を堪能しました。当時はボルダリング(フリーの岩登り)はアメリカで流行りだしたばかりで、いまのようなブーム(東京から五輪競技にもなりましたね)は予想することができなかった。わたしたちはザイル(ロープ)を使って、校舎の上階から懸垂下降で地上に降りる練習をしていた程度です。

小寺さん(高校生の女の子)は、好きなもの(ボルダリング)にとことん集中する。ほかのことはほとんど意に介さない。邪気がない。すなおで だれに対してもわけへだてなく、ていねいに接する。マイペースなんですね、究極の。進路希望の第一は、「クライマー」だ。

そういう彼女に惹かれ、かれ彼女らは居ずまいをただす、背筋を伸ばす。彼女のように じぶんも目の前の課題に真摯に打ち込もうとする。つまり彼女は、皆にとって すてきなインフルエンサーなんですね。

この映画はよくできていますよ。好感がもてる。親子で安心して観られる映画の数少ない例のひとつです(昨今、危なっかしい映画が多いから)。やぼったい演出もあるけれど、全体をとおして 若い人たちがすばらしい芝居をしている。そして若い人(高校生)たちしか登場させない ストーリーのいさぎよさがある。締めくくりの あのラストショットで +10点です。

こういう青春映画を観ると、つい高校生にもどりたくなりますねえ、一週間くらい。もちろんテスト期間以外ですよ。
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