じろちぃ

メイキング・オブ・モータウンのじろちぃのレビュー・感想・評価

5.0
デトロイトは自動車産業の街。
企業が地域社会への文化教育にお金を出し、若者にオーケストラを聴く機会を提供したという意外な背景。日本でもありますね。企業がスポーツ教室やってくれたりして地域社会に貢献するやつ。そこから生まれる才能。
モータウン、なかなか奥が深い。

「who’s loving youな、俺がやるとどうしてマイケルジャクソンの曲を?って訊かれるんだ。あれは俺が書いた曲だよ!マイケルが生まれる前にね!なのにもう今じゃあれはマイケルの曲だと思われてるしカバーする時はみんなマイケルジャクソンに寄せてるんだ笑」…なんですと!そうなの?知らんかった!
マイガイに対抗してマイガール出したのも知らんかった!それをみんなゲラゲラ楽しそうに笑ってるのがいいねー。
面白いなー。ここらへん下手に映画にするより、こうやって本人たちに生き生きと語らせたのは正解だったな。

ドキュメンタリーなのでセリフじゃなくて生の言葉。表情も含め情報量が多いのと、字幕のちょっとしたニュアンスのズレが気になる箇所があるので、リモコン片手に時々リピートしながら味わうといいかも。

レストランでの会話の部分、
【接客係が「黒人は召し上がれません」私は「黒人を食えってのか」】の部分、本当はもっとスマートなやり取りをしている。【接客係が「申し訳ありませんが…その…ここに黒人は…」「結構ですよ。それはいらないから」】じゃ意味が伝わらないからちょっと改変したのだろうけど、あえてとぼけるような口調と直接くってかかるような口調では品位が違ってくるんだよな。ちょっとしたことなんだけど大切にしてほしいニュアンス。そのあとも自幕では「マフィア風にすごんだ」となっているが、「そして少し…シシリアンのようにした」みたいに言ってる。同じことでもちょっと、ね。
そこで品位を保ってこそ、次の会話「イタリアンマフィアに牛耳られていると噂された笑」が生きてくると思うのだが。
特にモータウンの場合、後半で語られるように麻薬や社会情勢には触れないスイート路線の縛りがあったわけで。

不機嫌なシュープリームスやマーヴィン・ゲイの多重録音など、本当にお宝映像だらけ。

枠にはめて爆発的なヒットを連発した本人が、後々自分のやり方を否定されたことも含めてこうやって笑顔で振り返れる。いい人生だな。

最後の社歌は爆笑。
みんな嫌がってるのに、あの2人はノリノリ。
なんか知らんけど笑いながら泣けてきた。

いいもん見せてもらった。
じろちぃ

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