ヤベヒロシ

なぜ君は総理大臣になれないのかのヤベヒロシのレビュー・感想・評価

4.5
なぜ君は総理大臣になれないのか。

その答えは割と最初から示されており、このタイトルの真意は、疑問ではなく問題提起となっている。

確かに政治ドキュメンタリーではあるが、政策の押し付けや批判というよりかは、不条理と向き合うある一人の男の生き様が描かれている名作だ。

理想と信念で動かしていくべき本来の政治の意図から外れ、どれだけ長いものに巻かれるかだけの政治になってしまっている中で、どこまで変わらずにいられるか。

涙が出るくらい真っ直ぐで実直な人間が、ここまで報われないのかと溜息が何度も出る。

報われてほしい。
でもきっと無理なんだろうな。

憤りよりも諦めの観念が鑑賞者を襲うのは、アカデミー作品賞をとった「新聞記者」にひとつ通ずる部分があるかもしれない。

私自身、初めて自民党以外の政治家に関心を持ち、ツイッターまでフォローしてしまった。
きっと他の政治家の中でも、こういう気概を持った人間がまだいるのではないかという新しい希望も感じる分、今の政治に無関心な人間にもぜひ観てほしい作品だ。
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