ひゅうどんこ

GOGO(ゴゴ)94歳の小学生のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

GOGO(ゴゴ)94歳の小学生(2020年製作の映画)
2.9
仏🇫🇷国原題:『Gogo』


 90代にして小学校で学ぶキャサリン・ヌデレバ{※①}(あっ、ケニア🇰🇪のマラソン選手ね)似のお婆ちゃんが、実際の学校で実際の先生、クラスメイト達と過ごす日々を追った、非創作否ドキュメンタリー作品。


 ケニア共和国は、東アフリカに位置する農業を中心とした国で、東アフリカ地域内では比較的工業化もすすみ、地域の経済を先導する形ではあるけれど、農業生産性は低く、失業問題、干ばつによる食糧危機などの自然災害に加え、都市化による所得格差が広がるなど、様々な問題を抱えた低所得国{※②}である。

ケニアをはじめとするアフリカ諸国の様々な問題であれ、何万キロも離れた遠隔地の情報が容易に手に入る現代にあって、申し訳ないが、この作品から得られるものは何ひとつ無かった、、ドキュメンタリーとしては。


 作品の主題である児童就学を妨げているものとして女性の社会的地位の低さを示しているが、就学の継続などと関連付けて医療事情の悪さも大きな問題であることが垣間見える。

作中、視力の低下を理由に学校を辞めようとする主人公に、校長が支援して目の手術を受けさせ復学する場面があるが、彼女が患ってきたのは白内障。

白内障は、適切な処置を受けさえすれば治癒する疾患であるにもかかわらず、途上国をはじめ未だ世界の失明原因の第一位である。

医学の進歩はめざましく、現在では25ドル程度から治療が可能であるともいわれている。

白内障なんて怖くない、そう言える世の中が来たらいいな、GOGO婆ちゃんと同じく白内障で片眼の視力をなくした私はそう思う。


 作中で触れてはいないが、ケニアの女性に関する問題として、Female Genital Mutilation /Cutting(FGM/C)=女性性器切除{※③}、いわゆる女子割礼も根強く残る国である。

2015年9月25日の国連総会で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』(SDGs)でも、2030年までにこの慣習を根絶することが明記され、ナイジェリア🇳🇬とガンビア🇬🇲を皮切りに2015年にケニアを含めた5ヵ国がFGMを違法とする法案を可決、2022年現在までに26ヵ国が国としてFGMを禁じている。。

。。にも関わらず、法律よりも地域の慣習が優先される地域や部族の間では、水面下で行われ続けているのが実状。

この悪しき慣習の撲滅に向けて、当事国としても本腰を上げてきてる例{※④}があるのは喜ばしい。


 どの国であっても子供だけに限らず、きちんとした知識を含めた教育を広く行き渡らせるのは、とりわけ大切なこと。

ケニアが真の教育立国{※⑤}となることを切に願う。


 鑑賞のきっかけとなったレビューをあげてくださったこやちさん、有り難うございます!





┅┅┅ ❬注釈他❭ ┅┅┅
{※①}
キャサリン・ヌデレバ - Google 画像検索
https://www.google.com/search?q=%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8C%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%90&client=ms-android-kddi-jp-revc&prmd=insv&sxsrf=APq-WBvqzC2CU3-20eD2D77KaaKvwTugxQ:1649121192977&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=2ahUKEwjNnJiX3_v2AhXVs6QKHZYHBYYQ_AUoAXoECAIQAQ&biw=360&bih=592&dpr=3

{※②}
通商白書2015年版(METI/経済産業省): 第1節 新興諸国経済の類型化
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2015/2015honbun/i1210000.html

{※③}
WHOの定義では「陰部封鎖」としており、膣を縫合→新婚初夜に切開するという。国や地域によっては、陰核切除などの施術を受けていても、膣縫合を施していない女子はコミュニティから排除されることすらある。

{※④}
女性性器切除に立ち向かう長老たち~ケニア~|国際NGOプラン・インターナショナル
https://www.plan-international.jp/news/girl/20170202_2283/

{※⑤}
2018年、世界銀行はケニアの教育システム(教育成果)をアフリカ大陸43か国中1位の国としてランク付けしている。