たま

海辺の家族たちのたまのレビュー・感想・評価

海辺の家族たち(2017年製作の映画)
3.5
マルセイユの小さな港町が舞台。

静かで穏やかで、ひっそりとした町に、時折通り過ぎる列車が印象的。

かつては賑わった町も、今ではすっかり高齢化や過疎化や老朽化に悩まされている。

景観のいい町に目を付けた、お金持ち達が別荘として買い漁り、すっかり地元の住民は減り、土地ばかりが値上がりしてしまったという。

病に倒れた年老いた父親を見舞うため、3人の中年の兄弟妹が再会する。

町だけでなく、そこに住む人たち、また帰ってきた人たちもそれぞれに悩みを抱えている。
再開した兄弟妹も、わだかまりを消すことが出来ずにいた。

そんな中、ボートで漂着したと思われる難民の子供たちを偶然に保護し、軍に見つからないよう匿うことになる。

3人の幼い姉兄弟たちを世話するうちに、中年の3兄弟妹の気持ちも変化していく。

まだ輝いていた頃の町と、かつての高揚した純粋な気持ちが蘇ってくる。

その後、中年3兄弟妹と難民3姉兄弟はどう生きていくのだろうかと思いを巡らしながら、余韻を残して映画は終わっていく。

もっと難民が劇的に関わってくるストーリーかと思いきや、難民が出てくるのはかなり終盤。

大きく感情が揺さぶられることの無い映画だけど、耳に残る自然の音が、あたかもそこに居るような気持ちにさせてくれた。
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