うみぼうず

海辺の家族たちのうみぼうずのレビュー・感想・評価

海辺の家族たち(2017年製作の映画)
4.0
BGMが波の音と風の音のみで、まるでその場にいるような感覚に。8割は自宅で、あとは港と山の場面が少しある程度、とても狭い舞台で繰り広げられる家族の分離と再生と。ただ閉塞感をあまり感じないのは、港町の開放感なのか、雪解けの物語だからなのかな。

何回か映る電車は、町から出ていく描写が数回あるも、終盤では電車は逆に町に戻ってくる。まさに家族の心理状態を表しているのかなと。電車の高架下で締め括るラストは心地よい。

年齢と人種、そして移民に関して散漫にならずにまとめている。いくつかの出来事により少しずつ家族(たち)に変化が出てくるが、けっこう中盤の出来事は個人的に衝撃を受けた。そんな素振りなかったじゃん…。でもこれもそもそも家族の父親が倒れた姿を見たからこそなのか。親子って難しいね。お互い良かれと思っているだけなのに。

日本だとありそうで無さそうなシチュエーションだなと。もっと閉塞的な物語になりそうだけど絶妙なバランスの映画。
静謐ないい映画でした。
うみぼうず

うみぼうず