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日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

4.7
中国残留邦人とフィリピンの残留2世の無国籍についてのドキュメンタリー。これは観てよかった。戦後は終わらない。メモとして書いたのでやや長いです。

国による三度の「棄民」。
軍隊が守るのは国(土)。その中に民は入っていなかった。

戦後、戦争責任と後処理をする包括的な法律が作られず、既存の社会制度で泥縄式に対処してきた結果、戦地に残された在留日本人が無国籍のまま年老いている。

フィリピンの2世は、中国への国策による移住と違い、マニラ麻事業に民間で移住したので、日本はその2世にまで責任を負わないとした姿勢だったが、フィリピンの温情ある施策が国連UNHCRを動かし、解決するのは日本国であると国際的に認識された。

この問題に携わっている弁護士、NPOは、日本は問題を解決するのではなく、問題を先送りして消滅することを待っているように見えるという。既に高齢の2世の人々は、時間がない。1,2年で動くべきという。

当時フィリピン人女性と正式に結婚したが、召集され、戦況が悪くなり、フィリピンに戻れなくなった夫。残された子は日本人の子供であることを隠し、山奥に逃げて貧困生活を余儀なくされた。

日本人の子供なので日本人だが、日本国籍をとるには数多くの証明書類が必要となる。日本人の親がいることを隠すために、言葉も忘れていた。ただしキリスト教が多いので教会の証明書が残っていた。

フィリピンでは無国籍になれば、不法滞在となり、罪となる。それを罪を科さないようにフィリピン政府が高齢者を労りながら面接を行っている。

中国残留邦人、帰国した時代によって補償が違う。70年代に帰国した孤児には補償がなかった。また、帰国後の支援策が十分になく、結局、生活保護を受けざるを得ない状況になった。そこで立ち上がり、各地裁で損害賠償を起こしている。

《キーワード》
戦争受忍論、棄民
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