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ヴァスト・オブ・ナイトの青ののレビュー・感想・評価

ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)
3.5
【その前夜】

作品の舞台となる1950年代と言えば、界隈では有名なUFO目撃事件の大収穫時代。

1951年1月 ネバダ州核実験時の目撃報告
同 2月 グラハム米海軍中佐UFO遭遇
同 8月 テキサス州ラボック大量光源目撃
同 8月 ウェッブ天文台教授UFO目撃事件

等々…調べればキリが無いほど報告例が。
とにかくUFO大フィーバーな時代。
現代以上に「何かある」と盛り上がっていたようだ。

もちろん、その真偽、エイリアンが搭乗していた乗り物なのか?ソ連(当時)の新兵器か?自然現象か?ただのイタズラか?
現状、絶対的な「ほんもの」と言える証拠は何も無い。
では、その万人を納得させるに足る証拠とは何なのか?
画像か?動画か?証言か?否、それだって今時は幾らでも捏造できる。
それこそ大統領が宣誓したり、億人の目の前に現れない限り「絶対的」にはならないだろう。


今作はそんな、見たモノだけを信じざるを得ない時代「どうしても変だ」って現象の渦中、DJのにーちゃんとバイトJKが独自にその謎を追いつつ奔走するだけの物語だ。

なんでもない田舎町。
捉える電波信号。
淡々とした起伏の無い会話劇。
ドタドタ走り回るJKと「お前誰やねん?」なラジオDJのにーちゃんとの思わせぶりな妙な関係性。
さあ、どうなる?….


作品としての評価は惨憺たるもので、時間泥棒とまでレビューにはある。
しかし、『宇宙戦争』や『未知との遭遇』の前日譚として見れば良く出来ている。

もしかしたら人類の転換期は、こんな何でもない町の、ちょっとした事件から始まっているのかもしれない。
…って思わせてくれた良い作品でした。
青の

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