ねこまるキャット

ROMA/ローマ 完成までの道のねこまるキャットのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ 完成までの道(2020年製作の映画)
3.7
『監督』×『意図』
白と黒の対比の美しさを堪能できる作品"ROMA"のドキュメンタリー、インタビュー。

個人的に映画のメイキングというものは、マジックの種を知ってしまうような"感覚"があるので、あまり見ないようにしています。

しかし"ROMA"に関しては、アート作品なので、白いキャンパスに絵が描かれていき、芸術となるまでの工程を見ていくような"感覚"です。

監督の"思い出"を映像として形にした今作。
決められた台本はなく、その思い出は監督の頭の中にしかないので、監督もそれを伝えるのに必死であり、それを理解しようとする演者やスタッフも必死。

自分が監督なら伝えられない"もどかしさ"で苛立ってしまうだろうが、その伝え方、接し方に、監督の"人間性"が垣間見れるドキュメンタリーです。

いくら感性が優れていても、監督の人間性がクソだったら、現場もピリつき、ここまで柔らかい空気感の映画は作れていなかったはず。

「すばらしき映画音楽たち」という映画制作のドキュメンタリーで、

「監督はまるで患者で、自分達は医者のよう。
頭の中にあるものを引き出さなきゃいけないから、ほとんどカウンセリングだよ」

といった事が話されていましたが、このドキュメンタリーもまさにそれ。

精神的に病んでしまっている、病人の話を聞かされているように感じてしまうほどの、監督の"強いこだわり"。

紛れもなく、本物の芸術家だという事がよく分かります。

未鑑賞で興味があれば是非⚪️⚫️