一昨年の2020年、こちらで初めて訪れた塩尻の東座や地元のスーパーに本作のポスターが貼ってあった。
地元の町や企業(新聞社や放送局など)の協力で生まれた映画というのが、各地で作られている。
地元でロケをし、撮影のボランティアなどその地の方の協力を得て、そこにゆかりの俳優さんらも応援にかけつけ、
地元で先行上映される。
残念ながら、全国的に有名になる作品はごく稀だが、
イベントや刺激が少ない地方にとっては、「お祭り」みたいな貴重な機会だと思う。
今も剛力彩芽主演の「ペルセポネーの泪」という映画が長野県の映画館では、
絶賛上映であり、テレビCMも流されている。(知らないでしょう?😅)
この映画も、長野県松川町(知らないでしょう😅)でロケをして、
長野ゆかりのタレントさん(田中要次や島田秀平らも出演)している。
セリフにも、随所に、「長野あるある」が混ぜられていて、(4時間かけて東京に来てる。なんてのとか😅)
まさに長野映画になっている本作だが、
その一番肝心な部分は、
長野県、いや過疎地域の葛藤をきちんと描いているところがなかなか良い!
この感覚は、過疎地に住まないと分からない部分じゃないかな、
良い街だよ、良い土地だよ、
人々との繋がりも大切にしたいし、
伝統を守っていくことの意義も分かってるよ、
そこに「現実」があり、都会の生活が「夢」ばかりではないことも承知している。
でも、、自分はずっとここに居ていいんだろうか、
ここしか知らなくていいんだろうか、
そんな葛藤が過疎地域の若者の多くが抱えているものだと思う
本作では、自分を出せる唯一の方法として
お笑いにチャレンジしたいのと、
父から受け継ぎりんご農家を地域の中で守っていく、ということの板挟みが描かれている。
正直、この結論でいいのかな、と思うところもない訳ではないけど、
両方を傷つけない描き方なんだろうな、
そーゆー点では、よく考えられた落とし所だったのかもしれない。
主人公を演じる竹内一希も監督自身も
お笑いの関係者なので、
お笑いの場面はよくできていたと思います。
吃音の主人公が自分の言葉で話せるのが、お笑いをしている時だけ。
りんご農家を取るか、自分の夢を取るか
松川町か、東京か、
田舎で暮らすことは、他のことを捨てるのと、
そんなジレンマがきっと、僕も過疎地域に住んで身につまされたのだと思う。
結末への持って行き方や、相方の気持ちとか、不満な点も多くあるけど、
長野県映画なので、身内びいきも加味してのスコアです。
それから、この映画のように、
地方発信作品への応援も含めて!