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君は永遠にそいつらより若いのlpのレビュー・感想・評価

4.8
東京国際映画祭にて鑑賞。

TOKYOプレミア2020より吉野竜平監督の新作『君は永遠にそいつらより若い』!
TOKYOプレミア2020部門で上映されている日本映画の中で、個人的な本命は今作。主演が佐久間由衣と奈緒、不可思議なタイトル、予告から伝わる何とも言い難い雰囲気。全てがストライクゾーンに入っていて、大いに期待して鑑賞!
現段階での今年のTIFFベストに該当する期待以上の傑作だった!

就職先が地元の児童福祉士決まり、宙ぶらりんとした日々を過ごす大学4年生のホリガイさんが主人公(佐久間由比)。日常に訪れた幾つかの変化を皮切りに、彼女は自身の内面と向き合う・・・という話。
まず素晴らしかったのが、主演の佐久間由比の演技だ。大学生らしく「軽薄さ」は残っているのだけれども、物語の主人公としての「芯の強さ」はシーンにより表に出していて、見事な演技を披露している。主人公と出会う猪乃木役の奈緒も独特の存在感があって良い。脇を固める小日向星一、森田想、葵揚、笠松将も巧く、演技の力で作品の世界観に惹き込まれた。

ストーリーの方は「行き先は決まっているけれど、本当にこれで良いのか分からない」。そんな社会に出る直前の学生特有の不安を、物語としてデフォルメしつつも的確に描き出す。個人的にも過去の自分と重なるものがあり突き刺さった!
ただ、話のデフォルメの仕方に対して、「バカバカしい」と感じる人もいそうではあり、万人受けは難しいかもしれない。個人的には、その「バカバカしさ」も含めて好きだったけれども!

そして最高だったのが、クライマックスの1つとも言える後半のあるシーン。
ネタバレ回避とこのシーンに関しては「平易な言葉で説明したくない」という想いも今回はあり、詳細は書かないけれど、それまでのドラマの積み重ねもあり文字通り「心を動かされる」シーンで素晴らしかった!!!
類似したシーンは他の映画でも観たことはあるけれど、ここまで心に響いたのは、今作が初めてかもしれない。

以上。1人の大学生の内面を巡る物語として、個人的には大満足でした。
映画祭では上映終了したけれども、来年劇場公開が予定されているので、気になる方はぜひ!オススメ!
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