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君は永遠にそいつらより若いのradioradio526のレビュー・感想・評価

3.5
「その言葉でじゅうぶんだと思う…私は」

「君は永遠にそいつらより若い」鑑賞。

大学卒業を控えて、児童福祉職への就職が決まったホリガイは髪を赤く染め手持無沙汰な日々を送っている。
うまく思っていることが口に出来ずにグダグダになってしまう変わり者。
その自覚すら持ち合わせていない彼女は、長身で22歳・処女を隠しもしない。
ひとつ年下のイノギと知り合い、奇妙な意気投合をするが彼女の過去には痛ましい記憶が貼り付いていた。ふとしたきっかけで知り合ったホミネの死をきっかけにしてホリガイの日常に潜むぬぐい切れない悲しみが顔を出す。

佐久間由衣という演劇オーラが溢れ出ている女優を観る作品。
朝ドラの出演で知った…個性的な顔立ちの長身の女優さんくらいにしか憶えてなかったが、舞台の準主役作品を観てから見直した。
今や先々が楽しみな女優のひとりで名前があったらチェックしてしまう。

欠落感や劣等感、進路ひとつにしたってそれが本当にしたいことなのかどうか…説明することすら、おぼつかない。
作り笑いでその場その場を凌いでも、独りになると全てが空虚に感じる。
イノギの心の傷を気付かずに謝るホリガイ…そんな傷を誰が気付くことが出来るのか。
トラウマになるのは一人一人の感じ方であって、誰が気付くわけもない。

ほんのひと時のすれ違いが忘れ得ぬ思い出になることがある。
「じゃあさ…わたしと結婚してよ!ww」
居酒屋の帰り道で冗談めかして放った言葉を抱えて逝ってしまったホミネ。
彼の思い残しを愚直に果たそうとするホリガイは自分の欠けている部分を目の当たりにする。

そしてエンドテロップで流れる小谷美紗子…最後の最後に曲が刺さる。
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