このレビューはネタバレを含みます
2022.08.23
誰かに悩みを打ち明けられたとき、
私はどのくらい寄り添うことができているだろうか。
昔行方不明になった男の子の事件を、他人事ながらずっと引っ掛かっている主人公ホリガイ。他人を放っておけなくて、でも不器用でまっすぐ。
演じる佐久間由依さんがベストマッチ。佐久間さん自身のまっすぐで嘘のない瞳を持つ人間性と、ちょっとボーイッシュでラフな雰囲気がとても合う。
そして奈緒さん演じるイノギ。幼い頃経験した傷を抱えて、いまだにそれに苦しみながら、隠すように生きている。
その他にも、
突然自殺をしてしまう同級生や、
巨根すぎて性行為の経験がないバイトの後輩など、
それぞれの葛藤が見える人物像が描かれていてとても丁寧。
人はそれぞれ悩みを抱えていて、
それは他人からみたらちっぽけにみてるかもしれないけど、当事者にとっては大きなことだったりする。
「人は朝起きて歯を磨くみたいに簡単に死ねちゃうんだよな」
という台詞があるが、
私たちは沢山の選択をしながら、
生きるという選択をしているけど、
そうじゃない選択だって簡単にできてしまうわけだ。
自分自身の存在意義を見出せている人はそれほど多くはいないと思う。
私なんていなくても世界はまわっていく。
そう思ってしまうこともあるけど、
この大きな世界の中で出会えた目の前にいる人の心を理解する気持ちは常に持っていたい、せめて。そう思ったのでした。