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水を抱く女のmのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.0
悲恋とは言えないようなどこか捉え所のない浮遊感のある作品。着地点が無くまさに水面を漂う影を見つめているような気分になってくる。

2022年になりましたが、まだ2021年のレビューを書いております。ナルコレプシーのようなものになってしまった為(一日の大半を寝て過ごしています。時間がありません)感想を簡単にしていこうと思います。今年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、今作はジャケットがオシャレだなぁと気になっていた作品。少々の知識が必要だったけれど、それが気にならないような美しい演出がされていて居心地が良かった。今作はファンタジーチックとして観てもいいだろうし、恋愛ものとして観てもいいと思う。あまりきちんとした線引きがない。そこが美しく、繊細であったと思う。曖昧なため好き嫌いは分かれそうだが…。

歴史家のウンディーネ(パウラ・ベーアさん)は、ベルリンの中心部の博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネス(ヤコブ・マッチェンツさん)が別の女性に心変わりし、悲しみに暮れていた彼女は、潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキさん)と出会う。二人は激しい恋に落ち、愛を育んでいくが、クリストフは何かから必死に逃れようともがくウンディーネの態度に違和感を覚える。そんなストーリー。

ドイツの水の精《ウンディーネ》というものが今作の主題らしい。今作はその知識があるとより理解し易いと思う。
ウンディーネ(水の精)は人間の男性と結婚すると魂を得る。しかしこれには3つの禁忌がつきまとう。
・ウンディーネは水のそばで夫に罵倒されると、水に帰ってしまう。
・夫が不倫した場合、ウンディーネは夫を殺さねばならない。
・水に帰ったウンディーネは魂を失う。
まさにこの禁忌がストーリーの筋。この神話を現代版にアレンジした作品。

そこかしこに水の演出がなされ、儚くどこか不思議な女ウンディーネの恋の話がアンバランスに描かれている。悲恋ともいえるが、それよりも運命に従ったと思えるラスト。これが人間としてのウンディーネの喜びなのでは?

ウンディーネは博物館でベルリンの街並みの歴史を解説する仕事をしているんだけど、それがくどかったイメージ。ウンディーネがベルリンに長くからいる=ウンディーネ、水の精を意識させたかったんだろうけど、ストーリーになんら関係なく、だらだらと続いた感じ。

静かな恋愛ファンタジーな作品でした。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★☆☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/愛が終わるとき、哀しき殺意のとき
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