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悪は存在せずのlpのレビュー・感想・評価

悪は存在せず(2020年製作の映画)
4.3
東京国際映画祭にて鑑賞。

ワールドフォーカス部門より、今年のベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を受賞したイランの『悪は存在せず』!
「ベルリンで金熊賞を受賞」、「イランの死刑制度がテーマ」と、話題性と題材の2点で充分に惹かれる今作。今年の東京国際映画祭の全作品の中でも、トップレベルで高い期待値を胸に鑑賞。
そしてこれが期待通りの傑作でした!

イランの死刑制度に目配せをした4つの短編から成るドラマ。各エピソード毎にサプライズや捻りが盛り込まれており、サスペンスフルなドラマとして充分に面白いレベルだ。
他方で4つのエピソードを通しで観ると、イランの死刑制度を巡る問題提起を浮き彫りにする。しかも、簡潔かつインパクトのある形で、各エピソードが「死刑制度」に触れているので、観客への訴求力は非常に高い。
エンターテイメントとしても、社会派の作品としても高いレベルで成立させていて、今作の構成と脚本は「見事」の一言に尽きる。

題材のヘビーさと上映時間の長さ(約2時間30分)で敬遠されるかもしれないけれど、日本での劇場公開を期待したい1本だ。オススメ!
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