kazマックスグローバーレッド

悪は存在せずのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

悪は存在せず(2020年製作の映画)
3.6
2020年ベルリン国際映画祭で金熊賞(作品賞)を受賞するも監督は逮捕され本国イランで上映禁止処分を受けた死刑制度の是非を問う4話オムニバス映画。

第1話 「悪は存在せず」
駐車場から車に乗って教師の妻と小学生の娘の出迎えに行く良き夫にして良き父親の中年男性。夜中の3時に起きて職場らきし場所へ向かうもそこはラジオとモニターとコーヒーメーカーに洗面台のある簡素な個室。そして謎のランプと謎のボタン。彼の職業は何なのか。


第2話 「あなたはできると彼女は言った」
二段ベッドが連なるたこ部屋で6人の軍人が揉めている。「僕はやりたくない」「入隊後は上官の命令に従うんだよ」「じゃ俺が代わりにやってもいいけど妹が病気で大金が必要なんだよ」彼らは何をやろうとしているのか。


第3話 「誕生日」
誕生日を祝うため田舎で両親と暮らす彼女を訪ねる男とケイワンという男の死。


第4話「私にキスを」
友人の娘を家に招き、何かを打ち明けたそうな中年夫婦。


思想や信条が違うだけで死刑に値するってのはただの粛清であって、この問題を投げかけた『悪は存在せず』はイラン政府から反政府プロパガンダ映画とみなされたのかもしれない。

死刑制度については、本人に人を殺める意思があって目撃者も確実にいる場合に至っては死刑も有りだとは思ってたんだけど、最近じゃ「自分で死ぬ勇気がないから無差別殺人をして死刑になりたかった」という動機の犯罪者も増えてきてる訳だし、死刑制度については改めて考えさせられます。