静かなる衝撃に襲われる、死刑執行者の話。
処刑される人、またはその家族の話ではない。
死刑囚の罪も人物も一切描かれない。
死刑制度について、今までとは全く別の視点から訴え、考えさせられる良作。
4つのオムニバス。
2020年ベルリン国際映画祭で最高賞受賞した、イランの死刑制度にまつわる4つのストーリー。
1話目は、淡々と日常を送り、家族とごく普通の生活をする男性。あまりに普通すぎて、ラストは言葉を失う。
イランでは兵役に就いている者の役目として、死刑を執行する任務があるらしい。
2話から4話はそれにまつわるもの。
状況はそれぞれに違うけれど、どれをとっても葛藤と苦悩しかない。
自分のみならず、周りの人間の人生も大きく変えてしまう。
今までは死刑執行者について、深く考えたことがなかったけれど、死刑制度にはこんな側面もあるのだと気づかされる。
静かに描かれるだけに、背筋がゾッと寒くなるようだった。
イランの殺伐とした砂漠の映像がが残像として脳裏に残る。