町蔵

涙の塩の町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

涙の塩(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

涙の塩
2020/フランス/100分/モノクロ
監督:フィリップ・ガレル
出演:ローガン・アンチュオフェルモ、ウラヤ・アマムラ、アンドレ・ウィルム、スエリア・ヤクーブ、ルイーズ・シュヴィヨット
地方に住む若者リュックは、美術工芸大学の試験を受けるためにパリを訪れた際、偶然道で出会ったジェミラという女性と短いが情熱的な関係を持つ。父の住む故郷に戻ったリュックはかつての恋人ジュヌヴィエーヴに再会し、ふたりはよりを戻す。しかしジェミラもリュックへの想いに胸を焦がし、その地に会いに来ていた。試験に合格したリュックはやがてパリへと上京していく。

「あらゆる点から考えて、より限られた製作体制(少数の登場人物、短めの作品を短い撮影期間で撮る)へ回帰し、それが方法として定着してから、つまり『ジェラシー』(2010年)以来、フィリップ・ガレルは無駄を削り、省略し、最も重要なもの、核心へと一気に突き進んでいく、そしてそのことが作品を非時間的なものとし、恋人たちを親密に結びつけることになる。『涙の塩』は、それぞれの挿話が、写真機のシャッターの動きを想起させるようなデクパージュや編集によって、そうほとんどまばたきのように開き、閉じていくその様によって目が眩むように魅惑させる。」(シャーロット・ガルソン)

ジェミラ(ウラヤ・アマムラ)が男を待ち焦がれるシーンのいじらしさは、グリフィス作品のリリアンギッシュを始めたみたような健気なみずみずしさに満ちている。
脚本が素晴らしい上に、レナートベルタのカメラは余計なものを写さず微妙な光線で物語を浮かび上がらせ、俳優陣もよいので監督は何もしなくてもよいのではと思ってしまうほど。
女優三人のそれぞれのキャラクターが浮かび上がる。
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