町蔵

デリート・ヒストリーの町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

デリート・ヒストリー(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

第70回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)に輝いた、現代的な社会派コメディ。低所得者が多く暮らす郊外の町。インターネットは社会格差をより広げていて……。

低所得者が多く暮らす郊外の町。かつて“黄色いベスト運動”と呼ばれるデモに参加した中年の男女トリオは、いつの間にご近所同士に。マリーは元夫と離婚したために15歳の息子と別居し、ネットで読んだフェイクニュースを信じがち。ベルトランはネットで買い物をし過ぎ、支払いに追われる。オンライン配車タクシーの運転手をするクリスティーヌもまた、仕事でストレスをためる。彼らはいつしか怒りが爆発しそうになっていき……。

杉原賢彦解説
フランスの地方が鍵。黄色いベスト運動で出会ったらしい。監督は2人とも映画教育は受けておらず、コメディアンとして活躍しつつコンビで監督業に乗り出す。ドゥニポタリデスはコメディフランセーズ出身。ブランシュガルダンはインテリ出身のコメディエンヌ。コリンヌマシエロはテレビ女優。
カイエとしては三つ星止まりで一般層に受けた。
フランス映画のイメージが変わり始めたのは、約束の宇宙はアート映画にはなかった共感できる面白さ。最強のふたりで始まっていた?セドリックカーンのよりよき人生。
1970年代コンスタンテール。異議申し立てによる社会への申し立て。
映画の舞台は圧倒的にパリであったが、マルセルパニョル、ロベールゲディキャン、アルノーデプレシャン、ラリユー兄弟は地方で撮る。うまく利用したのがシャブロル。
本作は必ずしも出来のいい作品ではないがし、糸電話がつながるのもあり得ないが、それも含めた映画の面白さ。

前半は少しマンブルコアっぽくて寝落ち寸前であったが、セックスビデオを撮られたところから映画が立ち上がっていった感あり。
しかしそもそも、ナンセンスコメディーだからと言えばそれまでてあるが、犯罪行為に対してなぜ警察に相談しないのか、腑に落ちない。
空港でハグしあう男女の仲が発展するのかと思えばさにあらず、若干消化不良の感もある。
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