ノラネコの呑んで観るシネマ

セイント・フランシスのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.7
夏という季節は、大人だって成長させる。
34歳お一人様、仕事も恋愛もすべて中途半端で、人生に迷いまくっているブリジットが主人公。
彼女は出産を控えたマヤとアニーのレズビアン夫婦に雇われ、一夏の間中間反抗期全開の6歳の女の子、フランシスのナニーになる。
オリジナル脚本も手がけた、ブリジット役のケリー・オサリバンが素晴らしい。
雇い主の出産と時を同じくして、彼女自身は恋人未満の彼の子を堕胎。
しかしフランシスとの暮らしが疑似的な母親体験となり、同時に雇い主の家庭を垣間見たことが結婚、出産、子育て、夫婦関係など、今まで彼女が避けてきた、人生のステップへの学びとなる。
産後鬱に陥って心を開けないマヤと、どう対処していいのか分からないアニー。
同性愛家庭のここまで赤裸々な葛藤は、映画では初めて見たかも知れない。
彼女らが心の内をぶつけ合う花火大会の夜のシーンは、本作の白眉だ。
私は男性だから実感としては分からない部分もあると思うが、それでもほんのりと温かい気持ちと共に、それぞれに痛みを抱えた登場人物たちへの大いなる共感に包まれる。
多くの人に観てもらいたいと思える秀作です。
フランシスちゃんが生意気可愛い。
ブログ記事:
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