Fumi

セイント・フランシスのFumiのネタバレレビュー・内容・結末

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

10年後にこの作品を見たときにどう感じるか確かめてみたいと思うような感覚があった。

この作品は自分の好みそうな感じのはずなのだけど、映画的な作品ではなかったようにも思う。ちょっと変な言い方だが、私はストーリーを観たいのではなく、「映画」が見たい、「映画」が好きなんだなと逆に認識した。

この作品はある種の政治的、性的嗜好でその人それぞれに良くも悪くもレッテルを貼ってる気もしてしまい(白人の中年以上の男性=ミソジニーとか、中絶反対の人=普段からデリカシーのない人など)もう一歩先に進んでほしい。傾向こそあれど、人間はそんなに単純ではないと思うし最近はそういう複雑性をきちんと描いた映画やドラマも増えてきているからこそ。

ただ、作品のテーマや女性の複雑さを捉えた点は良かったし、実際にちょっと泣けたシーンもあった。何よりこういう中絶や生理、産後うつなどのテーマでありながら男性からも支持されている点は素直にとても良いことだと感じる。特に中絶に対しての病院の医師の対応にはこちらが救われるものがあったぐらいだし日本でも女性側の精神的ダメージの大きいい外科的手術だけでなく早く薬剤による中絶がメインストリームになってほしいと思えた。
ダメージを負うのは常に女性だというメッセージもさらりと伝わり良かった。

だが映画全体の洗練性、という点において物足りなさがあったのかもしれない。
あるいは自分が生理という言葉自体を仲の良い人にさえあまり言いづらいぐらい戸惑いがあるタイプなので、あけすけにいうこと自体悪いことではないが口にしないことやオープンにしないことが良くないとも思ってないからかもしれない。(理解が進むべきだとは思うのでこの映画のような表現でいいのだろうけど。)

上記含めすごく考えさせられる作品だった。
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