エイプリル

ザ・シークレット:デア・トゥー・ドリーム/ザ・シークレット 希望を信じてのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

本作で起きていることはかなりシリアスで、当事者のミランダからしてみれば苦労の連続だと思うのですが、その割にずっと雰囲気が穏やかで良いです。
俳優の演技が良いことはもちろんですが、カメラワークとロケーションが非常に優れていて、どの場面を静画で切り取っても絵になるような映像がずっと続きます。映画における背景の重要性を改めて教えてもらえたような気持ちです。良いセリフもじゃんじゃか出てくるので、そこも良ポイントでした。
最後の方にちょっとだけタッカーが独占欲強めのヤバいやつと化すのですが、とはいえ根は親切心に溢れた男で、基本的に良い人しか出てきません。義母もまあまあ嫌なことを言いはするのですが、悪意で言っているわけではなくちゃんと信念を持って言っていることも分かりますので、安心して観ていられました。群像劇としてもちゃんと成立しています。

かなり良い部分の多い映画で見どころ満載なのですが、一番観てもらいたいのは主人公のミランダです。このミランダという人、相当やばい人で、まず自分で追突事故を起こしてその修理を被害者のはずのブレイにしてもらってるのに作業中にさっさと自分だけ家の中に戻るというムーブを見せてくれます。
しかもその後、ハリケーンで家が壊れた後、ブレイに格安で家を修理してもらうことになるのですが、この時も自分だけ避難します。屋根を直してもらってる間…別の家に避難を!?
極め付けは終盤の娘の誕生日会でいきなりブレイにビンタ、会場の空気をぶち壊します。今でもモブの女の子の凍りついた表情が忘れられません。
ただこういうおもしろ人間を相手にしてもブレイは決して怒らずに冷静沈着で、こういう人間になりたい…と思いました。

現代版のシンデレラストーリーという感じで、結局ミランダは自分で何かを努力することなく栄光を手に入れたという印象でした。ミランダはミランダで相当な悩みを持っていたのだと思いますが、映画の中で具体的なアクションはほとんど起こしていませんので、その点に好みが分かれそうにも思いました。
ただ引き寄せの法則をベースにした映画ということなので、あえてミランダをそういう人物として描写したという事情も分かりますし、それを差し引いても素晴らしい映画ですので、スピリチュアルに関心がない人も楽しく観られると思います。
エイプリル

エイプリル