ぶみ

タイラー・レイク -命の奪還-のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
ミッションを終える時、償いが始まる。

ジョー・ルッソが手がけたグラフィック・ノベル『Ciudad』を、サム・ハーグレイブ監督、クリス・ヘムズワース主演により映像化したアクション。
誘拐された麻薬王の息子の奪還を依頼された主人公等の姿を描く。
主人公となる裏社会の傭兵タイラー・レイクをヘムズワース、誘拐された麻薬王の息子・オヴィをルドラクシュ・ジャイスワル、レイクの上司をゴルシフテ・ファラハニ、麻薬王の部下をランディープ・フーダーが演じているほか、タイラーの旧友ギャスパーとしてデヴィッド・ハーバーが登場。
物語は、至って単純で、麻薬王同士の抗争により誘拐されたオヴィを救い出すレイクの姿が、バングラデシュのダッカを舞台として描かれるが、数々のアクション作品を手掛けてきたアンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソが製作に名を連ねていることから、そのアクションシーンは折り紙付き。
特に中盤にある、街中でのカーチェイスを中心とした長回しのアクションは、走るクルマの中外関係なく縦横無尽にカメラが動き回り、そうかと思えば、パルクールのように飛び回るというものであり、一体どのように撮っているのか仕方がなくなるほど。
本作品が監督デビューとなるハーグレイブが、もともとスタントマンやスタント・コーディネーターであることを考えると、それも納得の出来栄えであり、ハーグレイブ自身もレイクの仲間・Gとして、主にスナイパーを演じているのも見逃せないポイント。
以降も、殆どのシーンが臨場感抜群のアクションシーンで占められているため、アクション好きには堪らない内容となっている。
原題は『Extraction』で、直訳すると、『抽出』や『引き抜き』といった意味になるので、わかりやすく主人公の名前とした邦題は、やむを得ないところか。
かなり予算がかけられたせいか、スタッフの数が半端ないことから、10分近くあるエンドロールの長さには辟易したものの、配信オンリーでは勿体ないクオリティを持っているため、スクリーンで観たかった一作。

溺れるのは、川に落ちるからじゃない、そのまま沈むからだ。
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