鎌谷ミキ

まともじゃないのは君も一緒の鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

4.8
映画の話とかけ離れるので具体的な説明は省きますが、私も世間ではマイノリティの一人です。「普通」という言葉に苦しめられているのです。そんな私には他人事とは思えない作品が作られたんだと。映画館で観たかったですが早めに観られるようになるとはラッキー。

なるほどなぁ。どんどん「普通」がわからなくなっていく感覚。てか「普通」の人ってどれぐらいいるんだろう。あ、小学生の時身長体重が平均すぎて「普通」でした。

会話が噛み合わない二人組(成田凌と清原果耶)と、成田くんと何故か「普通」に話ができる彼女(泉里香)。果耶ちゃんが一方的に好きな小泉孝太郎。ほぼこの4人だけで話が進むのがよかった。よくよく考えると4人共「普通」じゃなかったね。あの里香さんの選択が「普通」というのなら、世の女性は男の甲斐性なしを許すことになる。それではいけないよ、ね?そういうこと。

本作は成田くんがズレてることを面白おかしく描きたいんじゃなく、だからこそ見えてる世界が違うんだよねってことだと思う。食べ物、森、人間の感情の捉え方…カレならではな表現。果耶ちゃんが「なんで好きになるんですか?」なんて聞くくだりもそうだよね。そこから?って思うよね。かわいいじゃないの、まだ若いんだからわからないこともあるじゃない。哲学的ではあるけどね。

本作のようなマイノリティに光を当ててくれるような作品は恋愛だけじゃなく、いろんなテーマで作ってほしい。多様化している世の中なんだから徹底的に「普通とは?」って表現してほしい。本作の浸透度がそもそも嬉しいわけです。誰かまた、お願いします。
鎌谷ミキ

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