てっちゃん

DAU. 退行のてっちゃんのレビュー・感想・評価

DAU. 退行(2020年製作の映画)
4.2
6時間超えの超大作です。

以前に有料配信できたのでレンタル購入したら、レンタル期限が2日間だったのだけど、気合いで観るぞ!と意気込んだ結果は、疲労困ぱいしているせいと集中力が続かないせいで1時間半くらい観たところでレンタル期限終了。

ごにょごにょしていたら、なんと通常配信できているではないか!ということで、リベンジ鑑賞です。

こりゃすげえな。
一気で観るのが1番いいに決まってます。
これは。

でも私はぶつ切りで鑑賞しました。
一気がいいのは分かっていましたよ、でもほら時間がないんですよね(6時間超え観てるじゃねえかってのはなしね)。
だれるところはなく、嫌な緊張感が常に続くので、一気に観ることは可能だと思います。

さあさ感想の方へ。
本作のクライマックスは特筆すべきであり、それを観るだけで十分に価値があります。
凄まじいまでの"破壊"があります。

純粋なる破壊なのです。純粋だからこその恐怖なんです。
倫理観とかそう言ったものは通用しません。
なぜなら破壊を楽しむ、破壊のために存在しているからです。
さらにその破壊を、"良きこと"と思っているんですね。
だからこそとてつもなく恐ろしいんです。

既視感を感じた方もいることでしょう。
あれ?日本と同じじゃん!ってことに。
そんなわけないでしょ、はいはいいつものね、という声があるかもしれないが、いやいやすでに国民の声を全く聞かないやりたい放題、自分ら周囲の一部の人たちのみが良ければ後は知ったこっちゃねえ、今の自分たちが良ければ良いっていうふうになってますよね。
これも破壊ですよね。

本作では謎の"正義感"と勘違いした"愛国心"の結果が描かれています。
こんなの絶対的に間違えていますよね。
これで恐怖を感じない人は、よほどのアレな状態になっていると思います。

気分が荒ぶってきましたが、続きます。

本作では私利私欲の塊が押し寄せてきます。
ああこういう奴らが国をダメにしていくんだな、組織をダメにしていくんだな、偏ったものができていくんだなというのがよく分かります。

本作では声をあげる人々の生き様が描かれていきます。
権利を奪われていく過程が描かれていきます。
時間経過に伴って変わっていく、言動や行動、表情、体の動きに注目して欲しい。
根こそぎ自尊心というものを引き抜かれていきます。

ではそれを引き抜いている側は?
言わずもがなですよね。
こういう態度になっていくんです。
こういう表情になっていくんです。
こういう行動をとっていくんです。

本作では声をあげる人たちと、それを破壊する人たちがいます。
しかしそこに、"無関心"な人たちもいます。
この無関心な人たちこそが、本作の描きたかったところではなかろうかと感じました。

無関心はそれが習慣となっており、なにが起こっているのか、これから何が起ころうとしているのか、ということに興味がありません。
こうしろと言われたら、何も考えずに従うのです。
その結果がどうなりましたか?というお話です。

この無関心の人たちが声をあげていたら、、と考えると少し違うものがあったかもしれませんよね。

本作は非常に広域的なものを描いています。
私は私自身の興味として、前述した箇所に興味を持ち、そこを中心に書きました。

しかし本作の魅力はそこだけではなく、とある計画について想像しながら見ることもできるし、腐った人間関係について見るもいいし、大きすぎる世界観に没頭するもいいし、、いろんな楽しみ方ができるかと思います。

企画自体に謎が多く、次作が日本で公開されるのか(字幕つきでね)分かんないし、最後まで観るのに生きてるのかすら分からないしで、分からないまるけのシリーズですが、気長に次作を待ちたいなと思いましたとさ。
てっちゃん

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