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最後にして最初の人類のやのネタバレレビュー・内容・結末

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

淡々とスポメニックとオシロスコープが映し出されるだけなのにめちゃくちゃ恐ろしかった。色々な意味で。
映画館で鑑賞したかったな、映画館だからこそ味わえた感覚絶対あっただろうなもっと早く知りたかったくやしーー!と思う一方で、
家で明るい部屋でだらだら見てたのに途中でめちゃくちゃ怖くなって目を逸らしてしまった箇所があったので(赤丸だけ映ったところです)、映画館だと逃げ場なくて発狂してたかもしれないから逆に良かったまであるかも……

淡々と語られるはるか先の人類の様子。
そしてモノクロで写されていくスポメニック。
語られる情景は、人類を俯瞰的にみたときのイメージも、人類が見ている目の前の景色のイメージも、さまざまなレベルがあるのですが、そのひとつひとつがスポメニックと噛み合っていく感覚が不思議でぞっとする。
色々な姿形のひとびと、1000年若者の国で「原始的な」生活を送るひとびと、宇宙に放り出されたエリートたちの心象風景…………等。具体的なものはなんも見えないし分からんが、「わからされていく」という感じがしました。
これが、語り手の人が言ってた「奇跡的に過去に干渉する」(意訳)現象かも……となってまた恐ろしくなるなどしました。

詩を読んでるときに頭にぼんやり浮かんだイメージが目の前にお出しされていくみたいな感覚が一番近いかもしれない……いや違うかも……絵本かも……超端的な文章と比率の高い絵から物語世界を想起させられる感覚かも……………

あと、語りの間が長く、語り口が淡々としてる件について。
メタ的に(?)言えば視聴者の想像力を掻き立てる時間なのかなと最初は思ってたしそういう側面も多分あるのだろうけど……
気の遠くなる時間を生きる未来の人類からしたらこれはむしろ早口なのかもしれない、とか、
「原始的な」音声言語に頼らなきゃいけない息も絶え絶え状態だからこういう間なのかもしれない、とか
語り口が淡々としてるのは使い慣れてない音声言語だからであって、実際に乗ってる感情は音楽の緊迫感や穏やかさに似ているのかも、とか
そうであるならばテレパシーでの意思疎通はいまの私たちで言う音楽を聴いている感覚に近いのかしら、とか
結局は想像力掻き立てられるための仕掛け、に戻ってくるんだけど、きっとこの作品には何一つ無駄がないのだろうなということに気付かされてまた怖ァ……となっています。

すごい。作品の時間は71分と短めなので、結構気楽に観れるかなと思ったけど、見終わった後の疲労感(とってもいい意味で言ってる)がやばい。観られてよかった、体験できてよかった作品でした。すごかったー…………
や